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中学2年のT君は、授業中いつも机に突っ伏していた。
言葉をかけても「うるせぇ」。友人たちは「あんなヤツじゃなかったのに…」と言う。
ある日ボソっと私に言った。
「俺、春休みおふくろのところへ行って来る」遠くはなれた都会に暮らす母には赤ちゃんがいるとのこと。
4月、中3になっても無気力、怠惰な生活ぶりは変わらなかった。エネルギーに満ち溢れた生活をする多数の生徒のなかで、T君の生気のなさは担任としていつも気がかりだった。彼のことが忘れられず、私はこの本の翻訳を決意した。
本書を読んで驚いたのは、子どもが親の離婚を受け入れている場合が多いことだ。
そしてもっと驚いたのは、離婚後も両親が協力して子どもの世話をし、慈しみ、さらに、再婚して新たに加わった義父母とも、紆余曲折を経たにせよ、実の父母のように、また異父母弟妹とも実の弟妹のように親しんでいる家族があるということだ。離婚後20年を経て、理想的な友人同士となった両親も決して少なくはないと言う。
恐らく、今離婚の渦中にいる人には考えられない姿だろうが、子どもが離婚を受け入れ、場合によっては再婚したときにその相手を慕い、そこに生まれた弟妹とも仲良くしてくれるとしたら、これはすばらしい未来像ではないだろうか。
もちろん、痛みの伴わない離婚はひとつとしてないだろう。両親の痛みも重要だが、子どもに離婚の衝撃が大きな傷として残らないようにするにはどうしたらよいか。
実際に親の離婚を目の当たりにしてきた子どもたちが語る言葉にぜひ耳を傾けてほしい。子どもの年齢にもよるが、小さな子どもでも離婚に至る経緯も含めて、驚くほどよく分かっている。
「バツいち」という言葉が市民権を得るほど離婚が増えた日本でも、離婚した元夫婦が理想的友人同士になり得るとは信じられないのではないか。
離婚にまつわるさまざまな偏見を社会から一掃するためにも、離婚に無縁な人にもぜひ読んでもらいたい一冊だ。
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